トランプ氏支持率、平均42％に回復－22年の中間選挙前以来の高水準

このニュースにおける世論調査の数字が示すのは、アイデンティティーの危機の表れである。トランプとバイデン、両者の支持率がこれほど接近するということは、アメリカという実体がその自己同一性を揺るがされていることを意味している。実際、支持率の低さは、アメリカ国民の精神が混迷しており、そのような精神状態が絶えず動揺し、変質していること示唆している。これは、歴史の進行過程における否定の否定、すなわち「矛盾の展開」そのものなのである。

国民の意志とは実は客観的な精神の現れであり、その客観的な精神は、個々人の主観を超越した普遍的なものとして理解しなければならない。したがって、支持率はただの数値に過ぎないという批判に対し、私はその数値が具体的な実態を反映した結果と捉え、国家という全体の普遍性を代表していると考えるのだ。支持率の変動を通じて、個々人の意識が普遍的な世界精神とどのように関わっているのかを分析すること、それが我々哲学者の使命ではないか。

確かに、支持率というものが全てのアメリカ国民の意志を代表しているわけではない。しかしそれは瞬間瞬間の民意の変動を静止画として捉えることで、時間の流れの中での民意の運動を掴み取る手段となる。従って、支持率が表示するのは絶えず流転する世界精神の一側面に過ぎず、一時的な現象を超越した普遍的な真理へと進む手掛かりを提供しているのだ。